この記事は、Claude CodeやCodexなどのコーディングAIをすでに使っている方向けの内容です。
また、2026年6月時点の情報をもとに書いています。
Claude Code・Codexを書籍編集・書籍制作の現場で使う
最近、書籍編集の現場でも、AIを使える場面が増えてきました。
そういうと、「AIが編集者の代わりになる」「編集作業そのものをAIに任せる」といった使い方を思い浮かべる方も多いかもしれません。
ただ、実際に使っている私の所感としては、編集の判断そのものをAIに丸ごと任せるのは、現時点ではまだ難しいという印象です。
伝わりにくい原稿を整理して「この順番で組み立てると、主張が伝わりやすい」という形に整えていくのは編集者の大切な仕事ですが、この部分をAIだけで行うのは現時点ではまだ難しい(今後できるようになる可能性はあると思います)。
では、どんな場面でAIを使うのか。
Edit Room:Hの場合は、DTPしやすい形に原稿を整えること、電子書籍化しやすい構造にしておくこと、機械的な誤字脱字や表記ゆれを探すことなどに活用しています。
ここからは、Edit Room:Hが実際にどのような形でAIを使い、作業効率化につなげているのかを紹介します。
使っているのはClaude CodeとCodex
Edit Room:Hが書籍制作の現場で使っているAIは、Claude CodeとCodexです。
どちらも「コーディングAI」と呼ばれるタイプのAIで、フォルダーの中にあるファイルを直接読み取り、編集したり、整理したり、スクリプトを作成したりできるタイプのAIです。
Claude Codeについては、Edit Room:Hで初心者向けの書籍も制作しています。興味がある方は、ぜひよろしくお願いします。
会話でわかる!ノンプログラマーのためのClaude超入門
チャット/Cowork/Claude Code対応
まず考えたいのは、セキュリティのこと
書籍制作でAIを使うときに、まず考えたいのはセキュリティです。
Edit Room:Hの場合は、自分たちで執筆している書籍も多いため、AIに入れても問題ない原稿が比較的多くありますが、著者さんから預かった原稿をAIに入力する場合は注意が必要です。
最終的には書籍として世に出る原稿であっても、発売前の原稿がAIに学習されてしまうことを著者が望まないケースは多いので、未公開の企画、原稿、著者情報などは、気軽にAIへ入れないようにしたほうがいいです。
企業で使う場合は、Claude CodeやCodexの個人向けプランではなく、ビジネス向け、チーム向け、エンタープライズ系のプランを検討すると、セキュリティやデータ利用条件を確認しやすくなります。学習に使われない設定や契約条件を確認したうえで使うことが大事です。
何より大事なのは、著者や関係者と「AIに何を渡してよいのか」を最初に決めておくこと。あとからトラブルにならないよう、前提を整えておけばトラブルは減らせます。
1つの本、1つのプロジェクトごとに、1つのフォルダーを作って進める
実際の書籍制作では、1つの本ごとに、1つのプロジェクトフォルダーを作って進めます。
これはAIを使うかどうかに関係なく、多くの制作現場で行われていることだと思います。
たとえば「散歩ダイエット」の本であれば、「散歩ダイエット」というフォルダーを作り、そこに原稿、編集済みデータ、DTPデータ、確認用PDFなどを入れていくイメージです。AIを使う場合も、基本は同じです。
AGENTS.mdやCLAUDE.mdにルールを明記する
プロジェクトフォルダーの直下には、最初にAGENTS.mdとCLAUDE.mdを作ります。
この2つは、AIに対する指示書のようなもので、AIがフォルダーに入ったときに最初に読むルールブックとして使います。
AGENTS.mdは主にCodexが読むファイル、CLAUDE.mdはClaude Codeが読むファイルです。
Edit Room:Hでは両方のAIを使っているため、どちらを立ち上げても同じ前提で作業できるように、2つのファイルを入れています。
また、両方のAIを使う場合は、AGENTS.mdとCLAUDE.mdの内容がずれないようにすることが大切なので、片方を書き換えたらもう片方にも反映するように指示を書いておくようにします。
AGENTS.mdとCLAUDE.mdに書くルールの例
AGENTS.mdとCLAUDE.mdには、編集方針やファイルの扱い方などのルールを書きます。
たとえば、次のようなルールです。
- ファイル名の先頭に必ず日付を入れる
- 作り直したファイルは「v2」「v3」のようにバージョンを付ける
- 古いファイルは決められたバックアップフォルダーに入れる
- 元原稿は上書きせず、必ずコピーを作ってから作業する
- AGENTS.mdかCLAUDE.mdのどちらかを書き直したら、同じ内容をもう一方にも反映させる
プロジェクト全体だけでなくサブフォルダーにも個別のルールが必要な場合は、その場所にもAGENTS.mdとCLAUDE.mdを置いておくようにします。
AGENTS.mdとCLAUDE.mdに長期メモリーへの指示を書く
また、AIには作業内容やユーザーの傾向を記憶する機能があります。便利な一方で、書籍原稿や著者情報のような機密性の高い内容を扱うときは、何を記録してよいのかを明確にしておく必要があります。
そのため、プロジェクト直下のAGENTS.mdやCLAUDE.mdには、次のようなルールを書くようにしています。
- この原稿の内容を長期メモリーに保存しない
- 著者名や未公開情報を外部資料に転用しない
フォルダー構成をAIと一緒に考える
AIを動かしていると、さまざまなフォルダーやファイルが勝手に作られていくので、だんだんと「最新のPDFはどこにあるのか」「最新の赤字原稿はどれなのか」「最終版はどれなのか」が、人間の目で見て分かりにくくなることがあります。
もちろんAIに「最新のデータはどれ?」と聞けば教えてくれますが、制作現場では人間が見ても分かりやすい構造にしておかないと何かと不便で、さらにデータの取り違えミスが起こる可能性が上がります。
そのため、Edit Room:Hでは自分が作業する場所とAIが作業する場所を分けたり、日付ごとにフォルダーを分けたりなどのルールを徹底しています。
もちろん、そのルールはmdファイルとして残しておきます。そうしておくと、AIのセッションが途中で切れたとしても次に再開するときにルールを読み直してくれるので、同じ前提で作業を続けられます。
原稿の書き方もAIと一緒に決める
原稿の書き方のルールも、AIと一緒に決めておきます。
ここで言う「原稿の書き方」とは文体などのことだけではなく、「どのように原稿を書けば、あとでDTPしやすいか」という目線で書き方を決めることを指しています。
Edit Room:Hでは、DTPに流し込む前の原稿に見出しや本文のタグをAIに入れてもらい、InDesignに読み込んだあとスクリプトを実行して段落スタイルや文字スタイルを当てるという方法を使って流し込みの作業を行なっています(InDesign用のスクリプトもAIに依頼して作成します)。
この作業を最大限効率的に進めるためには、流し込みしやすい原稿の形を、原稿を書き始める前にAIと一緒に決めておくことが大切です。具体的には、この段階でDTP用のスクリプトを先に作っておき、それに合わせて原稿の形を決める…という順番がベストだと考えています。
また、紙の本だけでなく電子書籍まで同時に作る場合は、さらに最初の設計が重要です。EPUB化のときにAIが迷わないように、最初からスタイルの扱いを決めておくことで、後から崩れを直す手間が減るからですね。
このように、編集/DTP/電子書籍制作までを見据えて、AIを使って制作フロー全体を整えておく。そうすれば、大幅な時間短縮が期待できます。
サブエージェントを活用する
AIに作業をしてもらうときはチェック体制が大切です。
特に原稿を電子書籍用に変換したりタグを入れたりする作業では、AIが変換を間違えて原稿の一部を消してしまう可能性があります。もちろん最終的には自分の目でも確認しますが、AIにも差分や抜け漏れをチェックしてもらうと安心です。
そして、このとき役立つのがサブエージェントという機能です。
サブエージェントとは、普段作業しているAIのセッションとは別に呼び出す、別のAIのこと。
人間の編集でも同じですが、自分で作った本のミスは、自分の目で探すより別の人に読んでもらったほうが誤字や違和感に気づきやすいものです。
AIでも同じように、サブエージェントを使って、いつものAIとは別の視点でチェックしてもらうことで、ミスに気づきやすくなります。
編集ルールのmdファイルは共通化しておくと便利
社内や自分の制作環境で共通して使うルールは、あらかじめ共通のMDファイルとして用意しておくと便利です。
たとえば、用語統一のルール、表記ゆれチェックリスト、電子書籍用の基本フォーマット、DTP流し込み用の原稿ルールなどです。
新しいプロジェクトを作るたびにそれらをコピーして使えば、毎回ゼロからルールを作る必要がありません。チェックの精度も上がり、制作スピードも上がります。
進行表の管理にAIを使う
本の制作には、著者、編集者、DTP担当、デザイナーなど、複数の人が関わります。今誰が何をしていて、どこまで進んでいるのかを分かりやすくしておくために進捗の可視化は欠かせません。
Notionなどで進捗管理をしている方も多いと思いますが、AIを使えば、プロジェクトに合わせた進行表を作ることができます。
誰が何を担当しているのか、いつまでに何を終える予定なのかが一目で分かるHTMLの進行表を作り、関係者で共有すれば、全員が何をやるかを一目で確認できます。
AIの司令塔は編集者である
結局、AIに仕事を任せるときに一番大事なのは自分が司令塔になり、AIが今何をしているのかを把握しておくことだと思います。
AIが同じミスを繰り返したり手際が悪くなったりしたときに、「そのやり方ではなく、こうしてほしい」「その指定の仕方は間違っている」と指示できる人でなければ、AIを書籍編集に使えません。
つまり、編集者自身が書籍制作そのものを理解しておかないとAIに指示が出せないということなので、これからも日々勉強することが大事だと思っています。
Edit Room:Hでできること

Edit Room:Hでは、Claude CodeやCodexのようなコーディングAIを使った制作環境づくりについてもご相談いただけます。
案件ごとのフォルダー構成をどうするか。AGENTS.mdやCLAUDE.mdにどんなルールを書いておくか。AIに任せる作業と、人が確認する作業をどう分けるか。DTPや電子書籍化まで見据えて、原稿をどう整えていくか。——単に「今回の本を作る」だけでなく、次回以降の制作にも使える仕組みを一緒に整えていくことができます。
書籍編集・DTP・電子書籍制作、制作現場でのAI活用についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。
